映画レビュー:ハドソン川の奇跡 英題:Sully

やっと観れました。ベテラン監督、クリント・イーストウッドとベテラン俳優、トム・ハンクスのタイアップ。。。この二人が映画に加わればすごいことが起きると予想していましたが期待以上の出来でした。


あらすじ

舞台は2009年ニューヨーク。155人を乗せ、ラガーディア空港から離陸した航空機はマンハッタンの上空でバードストライクにあい、エンジンが左右両方とも停止。機長であるチェスレイ・サレンバーガーの判断により航空機はハドソン川に緊急着水することなる。その着水が見事成功し、乗客、また乗組員は全員助かるのだが、この機長の判断が本当に正しかったのかという疑問が国家運輪安全委員会の中で沸き起こり、厳しい追及が行われる。

 

レビュー

事件が起きた直後から物語が始まり、そこから主人公の過去と現在が行き来する構成になっているんですが、この見せ方が映画のテンポを良くしており、飽きのこない仕上がりにしてくれています。ただの法廷劇ではなく、ところどころにユーモアや彼の葛藤が描かれており、この映画を一層引き立てています。特に飛行機の離陸から着水するまでの5分間は最大の見せ所。実際中古のエアバスA320航空機をセットの湖に沈めて撮影しているようで、IMAXで観たのですが本当にその場にいるかのような緊張感が伝わり、すごくリアルで臨場感がありました。これはCGやカメラワーク以外にも素晴らしいサウンドデザインのおかげとも言えます。音響監督のバブ・アスマンは二度もサウンド編集部門でアカデミー賞を受賞しており、今回の作品でも素晴らしい才能を発揮しています。またクリント・イーストウッド監督自身若い頃、軍用機に乗っていた際緊急着水を経験したことがあり、この経験が映画を作るにあたって生かされたのだと思います。


彼が着水を成功させたにも関わらず、その後彼の判断が正しかったのか追及する裁判が開かれます。世界中の人々が彼をヒーローとして讃える中、やはり飛行機のエンジン被害による損傷を負わなければならない航空会社や保険会社がいるわけで、彼をこの事件の容疑者にしたいと思っている人たちがいる中での彼の葛藤もうまく描かれています。

 


サレンバーガー機長を演じるトム・ハンクスの存在感もこの映画には欠かせないものとなっています。ブリッジ・オブ・スパイやキャプテン・フィリップスでも、彼はやはり「普通に仕事をこなす中でヒーローとなった人物」という役がぴったりです。今回もサレンバーガー機長自身この事件の後人々に「ヒーロー」と呼ばれることを嫌っており、自分はやるべきことをやっただけだとインタビューで答えるのですが、このセリフを言うような役柄はやはりトム・ハンクス以上にぴったりな人がいるとは思えません。控えめで洗練された演技とともに 力強いセリフを読み上げる彼の役目はやはり監督と俳優との素晴らしいコンビの結果とも言えます。この映画は来年度アカデミー男優賞、また作品賞も期待できる仕上がりとなっており、ノミネートは間違いないと思われます。

 

 

あと追記になりますがエンドクレジットで実際のサレンバーガーとその乗組員、そして乗客が再開するシーンがあり、これも感動的なので見逃しなく!今日も読んでくださりありがとうございました。海外に住んでいるのでブログでは日本よりも一足早くレビューしています、また宜しくお願いします。^^


個人的評価 8.8/10